AM放送ってこんなに音がよかったの?

ゲルマラジオとFMワイヤレスマイクの華麗なる競演

某社ウヰスキーのTV-CMに、「何も足さない、何も引かない」というコピーがある。下手に手を加えて本来の持ち味を損なうようなことは止めるべきだという主張は、モノ作りの大切な哲学だと思う。

ラジオについても同じことが言えないだろうか?増幅回路や、整形回路を通る過程で、音は本来の持ち味をどんどん失っていく。高級なラジオよりゲルマラジオの方が良く聴こえてしまうのは、あながち自作マニア達の心理的な錯覚ではないように思える。

ゲルマラジオの出力を、そのままFMワイヤレスマイクにつないで、音質の良いFMラジオで聴いたらAM放送が最高の音質で聴けるのではないか・・・ふと、そんなくだらないアイデアが浮かんだ。もちろん即、実験だ。

トランスミッターとしては、モノラルで入力感度が高いものということで、今回はエレキットNT-7を組んでみた。とても可愛い基板からは、十分なRF出力が出ているし、SN比も良く、レピータとしては申しぶんない商品だ。
FM変調にはバリキャップを使わず、トランジスタが持つ可変容量特性が応用されている。変調回路が増幅回路を兼ねていて、文字通り一石二鳥の設計だ。

小型ゲルマラジオに
組み込んでみた

窓際に置いたループアンテナ型ゲルマラジオと
ソーラーライト改造FMワイヤレス装置

▲上の写真はプラケース入りゲルマラジオに、トランスミッターを押し込んだところ。アンテナ端子にロングワイヤーをつなぐと・・・おおっ!混信気味のAM放送がなんとミニコンポから流れてくるではないか・・・。(考えてみれば当たり前の現象だが、館長はナニゲに御満悦!) 変調もよくかかっていて、クリスタルイヤフォンでかろうじて聴ける局も、明瞭に聴こえる。

▼こうなってくるともう少し実用的なシステムを組んでみたくなる。(「そんなにゲルマラジオの音が聴きたいんやったら、アンプに直接入力したらええやん!」という周りのツッコミも、もはや耳に入らなくなっており・・・笑)
用意したのは、大型のループアンテナをもった自作レトロ風ゲルマラジオ。これをラジオが一番よく聴こえる窓際にセット。
一方、トランスミッターも、きちんと太陽電池ユニットとセットにしてケースに収め、並べて配置してみた。(この仕組みについては こちらのラジオ を参照)
これにて、めでたく「ゲルマラジオ無電源レピーター」の完成!雨の日も、風の日も、このコンビはひたすらAM/FM変換をして、素敵な音を聴かせてくれている。

さてさて、本来の目的であった音質改善については、どういう評価をすればよいのだろう?
ゲルマラジオの同調回路のスカート特性が、通常のラジオよりはるかにブロードなため、フラットな周波数特性が得られ、歯切れのよい音が楽しめる。しかし、検波回路に対する入力が十分でない場合には、ダイオードの非直線部分での検波を余儀なくされているようで、若干歪っぽい感じがする場合がある。検波用ダイオード一本一本の検波性能のバラツキがそのまま音に出てきているようで、実験好きにはまた次の課題と楽しみを残してくれたようだ。