有田焼皿のラジオ
焼き魚は乗せないで・・・・

「山にこもって焼き物でもしてみたいよ」 ・・・ 一生涯、身を粉にして働き、大切な人生という時間を、カイシャやソシキのために切り売りしてきた男が、場末の焼き鳥屋でしみじみと呟いていたりする。

実際、焼き物をするというのは、大変なエネルギーを要するもので、日本中のオヤジさんが退職後みんな山に入ってしまうわけでもない。ただ、その男のロマンっちゅうか・・・それはわかる気がするのね。

ラジオだって晩年を迎えると、陶器に走る。これまで星の数ほどラジオを世に送り出してきた天下の松下電器さんだって、最後に辿り着いたところが有田焼のラジオであったのだ。

このラジオの意図された用途は、引き出物、式典の記念品、ゴルフコンペの賞品といったところなんだろうが、それはきっと表向きの能書きにすぎない。
ラジオの設計者が、どうしても最後にラジオと陶器を添いとげさせたかったのだろうと思えてならない。

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R-71 鶴と松

ま、ま、勝手な推測はやめて、じっくりラジオを見ていくことにしよう。陶器のラジオといっても、お皿の裏面に本体のプラスチックケースが貼り付いている格好で、その出っ張り部分が支えとなって自立する。
上部にボリュームとチューニングダイヤルがついていて、操作性はまずまず。デザイン上、つまみ類を表に出すことはできなかったはずだ。
スピーカーから音の出るところだけは穴が開けられていて、「陶器製ラジオでございます」というアピールをしている。

ラジオとしての性能(音質、感度等)は、6石スーパーの基本に忠実な回路でそれなりのもの、松下さんらしくソツなくまとまっております。( Inside ボタンをクリックして内部にも視線を注いでいただきたい。)

《注》 冒頭書いたように、人生の悲哀を感じさせるラジオという意味で、通常のB級展示場から、特別展示室へと格上げさせました。

さて、松下さんの陶器に対する思い入れはなかなかのものだったようで、このお皿ラジオにはシリーズがある。鶴・松とくれば、ここは一つ華やかに、早春のお姫様、梅と牡丹の饗宴とまいりましょうか。

ところで恥ずかしい話だけれど、館長は焼き物については無知・無学である。お茶碗が瀬戸物(愛知県)であることを知っているぐらいが関の山だ。有田焼と聞けば、温州みかんの産地、和歌山県の有田市近辺の焼き物だろうと長いあいだ思いこんでいた。

このラジオのパッケージには「伊万里・有田焼」とあり、九州の伊万里市と紀州の有田市がなぜ併記してあるのだろうと不思議に思っていた。このあたりの地理的・歴史的な解説は こちら に詳しく出ているので、読んでいただくことにしよう。

お皿には有田山徳窯の銘が入っているが、この窯元はなかなかの老舗のようで、寛延三年(1750年)創業とのこと。古伊万里の長い伝統を引き継ぎつつ、昭和末期に松下さんといかなる出会いがあってこのラジオが生まれるに至ったのか、興味はサラに深まるのであります。

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R-71 梅と牡丹


Have a Look !! その1
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陶器で出来た大手メーカー製ラジオはもう他にないだろう・・・しかし、個人のアイデアで作られたラジオは存在するに違いない・・・WEB探索したら、やっぱりありました! 並三ラジオが入った可愛い陶器ラジオに出会えます。つまみまで陶器という凝りようが嬉しいじゃありませんか・・・。

 Have a Look !! その2
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このページをご覧いただいた方より、「こんなのもあるよ〜」というわけで、写真を送っていただきました。
懐かしき Honda シティーターボ が描かれているので、おやおや天下のHONDA技研さんもお皿ラジオのOEM供給先に?・・・と一瞬思わされるけれど、どうも狙い目はカーオーディオのようで。松下さんの商魂が垣間見える。

上記の二品とは趣きががらっと異なるが、<陶器の皿>+<ラジオ>+<車&オーディオの写真>の組み合わせ・・・成り行き上こんなになっちゃいましたみたいな、なんともアンバランスな販促品ではある。

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