宇宙時代のラジオは思いやりに満ちていた・・・・
富士の ロケットラジオ


技術分野ではなんでもナンバーワンの技術立国日本だが、どういうわけか宇宙開発だけが著しく遅れをとっている。とりわけ、アメリカのものに比べたら鉛筆か爪楊枝のようにしか見えないロケットの打ち上げが、ことごとく失敗を重ね、国民の税金を無駄遣いしている。庶民感覚からすれば、その一発にかける何百億円という費用で、何万発の花火を打ち上げることができ、何百万の人たちに楽しんでもらうことができるだろう・・・などと考えてしまう。

我々が小さいころ、ロケットは科学技術の象徴だった。家の屋根より高いところを走る高速道路、原子力発電、工場で働くロボットたち、弾丸列車(註:新幹線のことです)、立体音響や動画が溢れ出てくる小さな円盤、個人が使えるコンピュータetc.etc・・・ どれも現実に出来たけれども、残念ながらロケットだけが未達成なのだ。

最先端科学技術の象徴であったロケット・・・これが昭和中期の科学少年御用達ゲルマラジオとドッキングしないわけはなく、実際、いくつかの商品が世に出たが、左写真は富士工業さんのMG-302号だ。

 

ロケットの内部構造

さて、ロケットゲルマの内部はどのようになっているのかさっそく検分してみよう。先端部をスライドすることによってチューニングができる・・・ということは開けてみるまでもなくμ同調型だ。
細いボビンにエナメル線が密巻きされており、その中をフェライトバーがスライドする仕組みだ。
同調点が二箇所出てくるのでおかしいなと思って中を開けてみると、コイルボビンが本体の中ほどに寄ってきてしまっている。コイルボビンを底面に固定して修理は完了。部品はゲルマダイオードとRFバイパス用のコンデンサ一個だけ。なんとも簡単なロケットだ。

 

ロケットラジオのマニュアルより
最重要項目

このロケットラジオの箱も、なかなかに味がある。ロケットの先端で足を踏ん張る宇宙飛行士も滑稽だし、アンテナの取り方を示した絵にも時代を感じる。蛍光灯の笠の部分が金属であった時代が懐かしいねぇ。 箱の裏には、このラジオの使い方が5項目にわたって説明してある。@〜C項目がもっぱら技術的なことを書いてあって、第5項目だけが妙に浮いている。しかし、この一項にいたく感動してしまった。宇宙時代にもこんな気持ちを持ちつづけたい。