このラジオ、録音はできませんが・・・

オープンリールデッキ型ラジオ

音や音楽を、「記憶」ではなく「記録」として留めておきたいという欲求は、いにしえの時代から存在する。
ニエプス兄弟が世界初の銀塩カメラ「タゲレオタイプ」を発明したのが1826年。それから間もない1857年には、エドアード・レオン・スコットが円筒の巻紙に煤(すす)を塗り、人の声を記録することに成功している。

それ以来、音や音楽を個人の所有物として傍に置き、いつでも再生できるようにすることが、人類の夢であったのだが、これは20世紀の半ば、テクノロジーの発展によっていとも簡単に実現し、また大衆化した。
オープンリールのテープレコーダ、カセット、MDやCDの類、そしていまや音楽は手の平にすっぽり収まる電話機や、指先サイズのスティックからいくらでも溢れ出る。

たしかに便利にはなった・・・しかし反面、音楽を一曲一曲大切に聴く習慣を人間は失ってしまったのではないだろうか。館長の持っている録音機は、40Gバイトのハードディスクを内蔵していて、いくらでも楽曲を吸い込んではいく。が、残念なことにそれらをじっくり再生して聴く余裕がないのだ。挙句の果てに何を録音したのかも忘れる始末。

このラジオを眺めながら、こういうデッキでエアチェクを楽しんでいたころは、もっと楽曲のひとつひとつを、慈しむように、大切に聴いていたものだったなと想い出した。
音楽も The more, the better では決してないのだ。

【特徴】
ツインレバーのデザインからして、AMPEX か AKAI のデッキを模したものだろう。
左側のリールがスイッチ兼ボリューム、右側がチューニングダイヤルになっている。トーンコントールつまみも、マイクジャックも、RECインジケータもアイデア次第で何かの機能を持たせることもできたであろうに、それらを見事に裏切った貼りぼてデザインだ。
ピンチローラの下側にチューニング用の文字板が見える。そうか!これってテープカウンタの窓に見せているわけ?・・・ちょっとは考えてるやないの!

中身は8石スーパー、この時代なので中間周波増幅部は2段構成になっている。感度向上ということなら、バーアンテナをもう少し長いものをつけたほうが効果的だったのにね・・・(Insideボタン参照) 低周波増幅部はトランスもケチって、石数だけは多いが貧相な内容となっている。
感度、音質はまずまず・・・最近、中国本土産の恐ろしくチープなラジオばかり聴いていたので、出来がよく見えてしまうから不思議だ。

本体のVUメータがあまりに寂しい有様なので、
YGWのアニキ達に寄り添ってもらった。

【仕様】              .
AMのみ 単三電池4本使用
8石スーパー 内蔵スピーカー式
出生地 Made in Hong Kong



* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

青年会50周年記念ラジオ
Y'S WALK 2005 in MURAYAMA

おもちゃのラジオはなんと宗教界にも潜り込んでいた。このラジオ、東京立川市に本部を置く「真如苑」が青年会発足50周年を記念して信徒さんに配ったラジオらしい。副題につけられた Y's WALK 2005 in MURAYAMA の意味はよくわからないが、この教団主催のスポーツ・イベントだったのかもしれない。

なぜに真如苑青年会がこのラジオを製作するに至ったかについては、箱の中に入っていた「記念ラジオの由来」と題する しおり を読んでいただきたい。「魂の会話」を録音するに至った由緒ある「米国製テープレコーダー」のレプリカだということが記されている。思いのこもったラジオであることは細部の仕上げや音質にも現れている。信徒さんにとっては宝物のようなラジオなのかもしれない。

【特徴】
何気ない中華ラジオも、人の思いが背景にあると、ある種の品格や気品を纏うようになる。それはもちろんラジオというハードウェアにも連鎖するのだろう。AM、FMラジオ共、実用レベルだし、音質も悪くはない。
テープレコーダーのデザインに合わせて、四種類のスイッチやノブ類が前面上部に配置されている。ただすべてが小さいので指先での操作がチトし難い。

マイクに見立てているのはFM用のリードアンテナであり、録音機能はついていない。写真には写っていないが上面カバーも付属していて、使用しないときは空のリールを内側に収納して蓋ができるようになっている。

【仕様】              .
AM、FM  単四電池3本使用
スピーカー、イヤフォン両用
マイク型ワイヤアンテナ
出生地 中国  凸版印刷プロデュース
サイズ 107mm×87mm×70mm 285g