もしもピアノが弾けたなら・・・

【仕様】
AM専用 単三電池2個使用
出生地 中国

【特徴】
グランドピアノの蓋を開けると、チューニングダイヤルとボリュームが見える。さすが、楽器の形をしているだけあって、音に深みがある。蓋の内面に反射した間接音は、スピーカーのコーン紙が隙間から見える通常のラジオとはチト異なった味わいだ。

なんとこのラジオ、ピアノ演奏モードを持っている。スイッチをRADIO→PIANOに切り替えると、キーボードで音階が弾けるのである。面白い番組をやっていないときは、このスイッチを入れてせいぜい練習をしよう。ただし、白鍵10音だけなので、唯一のレパートリー「ネコ踏んじゃった」も弾けないのだけれど。

阿久 悠 作詞  坂田晃一 作曲
 ♪「もしもピアノが弾けたなら」♪の 2番

もしもピアノが弾けたなら
小さな灯りを一つつけ
きみに聴かせることだろう
人を愛したよろこびや
心が通わぬ悲しみや
おさえきれない情熱や
だけど ぼくにはピアノがない
きみと夢みることもない
心はいつでも空まわり
聴かせる夢さえ遠ざかる
アア アー アア・・・・
遠ざかる

ま、ま、そこまでおっしゃらなくてもいいじゃございませんか。世界が100人の村であったとしたら、ピアノが自宅にあってポロリンポロリンと弾ける人なんざ1人いるかいないかの割合でしょ。
それでも世界中の恋人達は、「人を愛したよろこび」や「おさえきれない情熱」を語り続けてきたわけだから・・・。

この歌詞を読んでいると、戦後日本の経済的繁栄の象徴的結末を見ることができる。馬車馬のように働き、なけなしの金で3C(自家用車・カラーテレビ・クーラー)のハードルをクリアーした後、最終段階で登場してきたのが「応接間のピアノ」だったような気がする。
とりあえずピアノは買ってみた。だけど、子供はバイエル教則本に見向きもせず、外へ遊びに出ていってしまった。残ったおとうちゃんがこんな歌を歌って、自分を慰めているのである。「ピアノを買っても自分には弾けなかったんだ・・・・」

時代の変化がなおも人々を襲う。いまやデフレ不況の嵐が吹き荒れ、こんな歌をうたっている場合じゃなくなった。代わりに「もっーと、もっーと、たけもっとーー♪」なんて歌にシフトしちゃった。
一番哀れなのは繁栄幻想から覚めた日本人だが、ピアノもいい迷惑を被ったものだ。